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出会いを大切に

99.9.15


 開業から4年、その間にいろいろな出会いがありました。他のコーナーでも書きましたが、この仕事が人相手の仕事である以上、ひとつひとつの出会いを大切にしてかなければなりません。
 そして出会いとは不思議なもので、この出会いがなければ今こうしていなかったという類いのものがあります。よく「私を変えた出会い」とか「ターニングポイントとなった出会い」などと言われますが、そういった出会いは偶然訪れるものなのでしょうか。単に運に恵まれただけなのでしょうか。

 先日、日経新聞(99年8月8日付)に、作家の阿刀田 高氏がコラムを載せていました。そこで彼は自分の作品の方向性を決定づけたある短編小説との出会いについて書いています。冒頭を引用すると


「 出会い、というものがある。
  ある日、あるとき、突然、出会うのである。その瞬間に
 -これだ-
  と直感する。なにが、どうして、これなのか、そういうことは、おいおいわかる。そのときは、ただ閃くだけ、ほかに説明のしようがない。」

この部分に私は強い共感を覚えました。私は元来、決断力の無い方で、どうしようかといつまでも迷い、悩むこともしばしばです。しかし、新しく事を始めるにあたっては、何故か必ず直感的に決断して動いています。この資格を取って独立しようと思ったときもやはりほとんど理屈はなく、とにかく「これだ」と思って走り出してしまったのです。普段の私からは考えられない決断の速さでした。笑われるかもしれませんが、私は常々「迷ったら引け」と自分に言い聞かせています。はたから見ると消極的に思えるでしょうが、今までの経験上、迷った末に進んだ時は大抵後悔に終わるのです。ですから直感でこれだと思い、迷わず進めるもの、一晩たって頭を冷やしてもまだ考えの変わらないものについてだけ進むことにしています。この決断に理屈はありません。理屈は単に後付けされるだけです。

 では、何故このような直感的な出会いがあるのでしょうか。どうすればそんな出会いに巡り合えるのでしょうか。そして誰にでも同じ出会いは来るのでしょうか。これは運ではなく必然である、と先ほどのコラムの後段で氏は述べています。

「翻って考えてみると、出会いは、そのとき急に起きたことのように見えたけれど、本当はそうではない。
 こちらのほうに相応の準備があって、そこで初めて出会うことができる。なにかを求めて・・・出会うべき対象を求めて、それがなんであるかもわからず、あえぎ続けた結果、あるときヒョイと対象が姿を示す。そういう構造だ。」

 よく、「チャンスは誰にも訪れるが、大事なのはそれを掴めるかだ。」と言われます。ある出来事をチャンスとして捉えて掴むことができるためには、日頃よりその事について真剣に考えていること、悩んでいることが必要です。それによりその問題についての意識が高まり、出来事をチャンスとして、出会いとして捉えることができるのです。真剣に考え、心の準備ができていなければ、目の前にあるものを捉えることができないばかりか、それが自分にとってチャンスである、出会いであることすらも気付かずに通り過ぎてしまうことでしょう。成功した人が「運が良かっただけ」と言うことがありますが、常日頃の意識の在り方、心の準備があって初めて運を掴むことができるのだと思います。開業すると色々な出会いがあると思います。大きな出会い、小さな出会い。何も考えずに過ごしていれば、それらはただあなたの目の前を通り過ぎてゆくだけです。自分の求めるもの、自分のやりたいこと等を常に真剣に考え続けている方には、いつかきっと大切な「出会い」が訪れるでしょう。そんな出会いを皆さんも大切にして下さい。


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