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不安の対処方法

2005.2.1

ものすご〜くお待たせしてしまいました・・・


 社会保険労務士になろうとして、試験を受け、めでたく合格したところまではいいが、その後、猛烈な不安が襲ってくる・・・私もそうでした。開業前には「開業して食べていけるのだろうか」「仕事がとれなかったら生活はどうなるのか」などという不安に襲われ、仕事が来たら来たで「仕事をちゃんとこなすことができるのだろうか」「いつか仕事がなくなるんじゃないか」などなど、不安という奴は数え上げればきりがないほど湧き上がってきます。そんなときは、どうしたらいいのでしょうか。これから書くのは、そんな不安にたくさん襲われつづけた私が経験上得た、いくつかの対処方法についてのお話です。ですから科学的裏付けはありません。この方法を試せば不安が必ずなくなるものではありません。ただもしかしたら、ちょっとは参考になるかもしれないね、という軽い気持ちで読んでみてください。

 では、これから不安に対処するためのいくつかの方法を挙げていきます。とりあえず1から順番に試していくという流れで、書いていきたいと思います。

1.不安のはまり込みから抜ける

 不安を覚えたとき、まず試してみていただきたいのは、不安にはまり込んでいる状態から抜ける、ということです。不安にとりこまれると、身体全体が不安に取り囲まれて、身動きがとれなくなります。襲われるがままにしていると、どんどん侵食してきます。ですからまずは不安にはまり込む状態を避けるために、やれることをやってみることです。

 一番簡単なのが「気を紛らわす」ということです。「な〜んだ、そんなことか」という声が聞こえてきそうですね。まあ確かに大した方法じゃないです。皆さんもしょっちゅうやっているかもしれません。でも本当に軽い不安ならば、これで消えちゃうこともあると思います。また不安の対処がうまくなった人なら、通常はこれをしているうちに落ち着いてきて、適切に対処できるということが言えるのかもしれません。

 次に試してみていただきたいのは「気持ちを切り替える」ということです。不安というのは、簡単に言えば「先に起こるかもしれないことを心配する」ことだと言えるので、「先のことを考えてもムダ」と割り切ってしまうことです。未来のことは起こるかもしれないし起こらないかもしれないのです。起こらないかもしれないことにエネルギーを費やすことはもったいないと思えれば、不安から抜けられるかもしれません。

 なんか、全然大したこと書いてないなと、半分あきれている人が目に見えるようですが、これから徐々に来ますので、もうちょっとお付き合いくださいね。

 その次に試してみていただきたいのが「意識を今、ここに戻す」ということです。さっきも書いたように、不安は未来の不確定なことを心配することなので、意識が今より先にいってしまっています。逆に言えば、意識が「今、ここ」にあれば、先のことを心配することもないのです。意識を「今、ここ」に戻す方法はいろいろあるかと思いますが、もっとも簡単な方法は「深呼吸」ですね。もっというと「呼吸に意識を集中している状態を作る」ということでしょうか。メディテーション、瞑想というほど大げさでなくても、自分の吸ったり吐いたりする息にだけ意識を集中してみると、だんだん意識が今に戻ってきます。その状態は決して不安ではないはずです。なぜなら、意識が未来になく今にあるから。この方法はそれぞれ自分のやりやすいやり方で覚えておくと、意外と役に立つのではと思いますよ。

2.不安を切り離して扱う

 さて次は、不安に取り込まれないようにするために、不安を自分から切り離して、客観視することによって対処するという方法です。不安という奴は、正体がはっきりつかめない状態であると、どんどん大きくなっていきます。ですから自分から不安を切り離し、自分と不安をきっちり分けた上で、客観的に見てやると、思ってたほどたいしたことはなかったり、受けるダメージが軽くなったりします。1.の方法を試しても不安がなくない場合には次のいくつかの方法を試してみてください。

 まずは、「現れてくる不安を見送る」という方法です。これはどういうことかというと、不安が「来たな〜」と思っても、それにとらわれず、あたかも目の前をただ通過しているかのように見送ってしまうのです。目の前にベルトコンベアがあって、その上を不安が通り過ぎていく。自分はそれを手に取らないので、そのうち流れていってしまい、自分には何の影響も与えないという感じです。コツは「不安が起きてくることを否定しないこと」です。「不安は絶対起こさない」などと力が入っていると、かえって思うツボにはまってきます。そうではなく「不安が来たな」ということは素直に認め、でもそれを自分の中には取り込まず、「あ、来たな・・・でも、これはそっちへ置いといて」と流してしまうのです。そして「今、ここ」に集中していれば、そのうち不安は感じなくなってくるという訳です。

 ただ、この方法はちょっと難しいかもしれないので、これでうまくいかない場合には次の手を試してみてください。それは「不安を細分化して核心を見つける」という方法です。これは私が一時期よくやってました。例えばある業務を処理するのに不安感が大きい状態があったとします。そのとき「この不安はどこから来るのだろうか」と考えてみるのです。「自分はどの部分が一番気になっているのだろうか」という視点で、その業務を細分化していくのです。処理の方法に慣れていなくてやり方が分からないから不安なのか、それとも処理が遅れるとそのお客さんはとても怒るのでそれが怖いのか、はたまた役所がお客さんの要望通りの処理を認めてくれるかが心配なのか、とやるべき業務をできるだけ細かくバラしていき、そのひとつひとつを取り上げて、どれについて考えると一番不安を覚えるかを確かめてみるのです。そうすると、漠然としていた不安感の核心が見つかってきます。この作業をしないでいると、出てきた不安感はその業務全体にかかってきて、とてつもなく大きなものに思えるのですが、細分化してしまうと、見つかった不安の核心は大抵たいして大きくはなく、上の例でいけば、不安の核心はその事例での処理方法がわからないことだとわかったので、役所に処理方法を丁寧に問い合わせれば、不安は嘘のように解消されるといったことになるのです。不安は漠然としていると必要以上に大きなものに感じますが、小さくしてつかまえれば、その対処方法は意外と簡単にみつかるものです。これ結構使えますので、一度お試しください。

 さて、もうひとつ方法をご紹介しましょう。それは「不安を書き出したり、誰かに話したりする」ことです。これもある意味、自分から切り離して吟味する作業と言えるでしょう。とにかく不安感にかられてどうしようもないときには「今、不安に感じていることを全部出してみる」のです。それは誰かに話してもいいし、紙に書き出してもいいでしょう。できれば誰かに話すときには、その内容を紙にリストアップしながら書いていくといいかと思います。そして列挙された不安を客観的な目で見てみるのです。メモに書き出された不安のリストを見て、自分がどう感じるかを確かめるのです。紙に書いたものを見るときには、ひとは冷静な視点で見ることができるので、大抵はその不安が自分が思っているほど深刻でないと感じることが出来ます。「馬鹿なことを大げさにかんがえているな」と自分にあきれるかもしれません。それくらい自分と離して不安を扱えれば、「じゃあ、どうしたらいいか」という対処がとりやすくなります。これも自分で実感したことがあるので、試してみてください。

3.不安に立ち向かう

 さあ、ここからが大詰めです。いよいよ上記の方法をとっても不安がなくならない場合、どうするかという話になります。不安という奴はしぶとくて、気をそらしたり、切り離して扱おうとしても、なかなか消えていかない頑固な奴もいます。いろんな方法を試してもどうしても不安がなくならない場合には、最後の手段、究極の方法として「不安を避けず、その不安に正面から立ち向かう」というやり方があるのです。簡単に言ってしまえば「正面突破」「当たって砕けろ」ということです。このことはかなり著名なスポーツ選手であったり、名のある実績をあげている人の口から出てくることがあります。逆に言えば、そんな人でも不安はあるので、我々のような普通の人間が不安を全くなくすことなど望むべきものではないのかもしれません。そしてそのような不安は、避けようとすればどんどん大きくなる一方で、最終的にはその不安に正面から立ち向かうことでしか、なくなることはない、ということが言えるのかもしれません。

 不安なんて感じるだけで嫌なものなのに、それに正面向いてその中に突っ込んでいくなんて、そんな怖いことできないと思われるかもしれません。しかし勇気をもって腹をくくり、その不安に立ち向かっていくと、そこを抜けた先には、とても静かで揺るぎのない、満ち足りた世界が実はそこに待っているのです。イメージとしては嵐の中をくぐりぬけていって、突然静かな晴れ間の場所に出ることができるという感じでしょうか。この感覚は、不安に正面から立ち向かった人でなければ味わえない特別なご褒美のようなものです。

 私の友人が、あるサイトのインタビューでこんなことを言っています。「不安の無い世界がここにあるとすると、その手前にはものすごく大きな不安の固まりが待っている。そこを抜けないと、その先には出ないんです。 」「たぶん本当にエキサイティングに、何の悔いもなく生きるということは、毎日不安のまっただ中に突っ込んで、そして抜けていく感じだと思いますよ。 」コーチングコア インタビュー「自分で地図を描く人たちVol.01」より)。この感覚が実感できるようになれば、きっと不安が湧き起こっても、それに取り込まれることも、それに支配されることもなく、不安を力に変えていけるのだろうなと思います。

 ただ、これを実行していくためには、かなりの勇気とエネルギーがいることも確かです。なので、できればいくつか持っていたほうがよいものがあるように思います。なんとなく私は次の3つがあるといいのではと思っています。

 まずひとつは「自分に対する自信」です。もっと言うと「ありのままの自分でいい」と心底思えることかもしれません。そしてもうひとつは「安心感」でしょうか。これは「どんなことが起きても自分の味方になってくれる人がいる」という安心感と言えるかもしれません。この2つがあれば不安に立ち向かう勇気が湧いてくるのではないでしょうか。そして最後に「結果にこだわらない心」があると、もっといいような気がします。あまり気張りすぎないで、リラックスして遊び心を持ちながら不安と立ち向かえることができれば、不安という奴をうまいこと扱えるのではないかと思います。

 

 かくいう私も、まだまだ不安に襲われる日々の中にいます。でも以前ほど、わけのわからない不安感に取り込まれることは少なくなっています。皆さんもいろいろと工夫しながら、不安という奴とうまくつきあっていき、人生を楽しく過ごしていただければと思います。

以上!やっぱり長かった!

 

<参考文献>

 「サイコ・タフネス 不安をパワーに変える心理術」(伊東 明・小林 信也 著 TBSブリタニカ 刊)
 「スランプをぶっとばせ メンタルタフネスへの10ステップ」(アラン・S・ゴールドバーグ 著 ベースボール・マガジン社 刊)

 


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